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私はなにもかもいやになって、朝起きるのもめんどくさかったし、本も読めず、字も書けず、台所に入ることもなくすごした。 夫の一周忌がすんだとき、どこか遠くへゆこう、と思った。
石井 好子「東京の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 ページ位置:23% 作品を確認(amazon)
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喪失感(大切なものを失う)
やる気を失う
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前後の文章を含んだ引用
......曲をひいてくれました。可愛い音でした」と、私が歌手であることも忘れぬ心づかいだった。 父は、九十三歳で亡くなった。夫につづいて、一年の間に二つのお葬式を出した。私はなにもかもいやになって、朝起きるのもめんどくさかったし、本も読めず、字も書けず、台所に入ることもなくすごした。 夫の一周忌がすんだとき、どこか遠くへゆこう、と思った。 * 数年前に、エールフランスの人から「東京、ニューオルリンズ、タヒチの間に線が開きましたよ」といわれたとき、タヒチの海、ニューオルリンズに行ってみたいな......
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喪失感(大切なものを失う)の表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
目に映るものはそこにたまたまある現実の風景でしかなくなり、聞こえてくるのは現実の音だけだった。あんなに心の中で豊かに息づいていたはずの世界は、乳色の霧にまかれたように、その輪郭すら見えなくなっていた。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
自分の中の最も大切な部分をごっそりと削り取られてしまったような空虚感を抱えている。それで、バランスが崩れてしまって、今はふらつきながら辛うじて立っているような状態だった。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
(大切な人が消えてしまって)そこでぼくが感じたのはたとえようもなく深い 寂寥 だった。気がつくといつの間にか、ぼくを取り囲んだ世界からいくつかの色が永遠に失われてしまっていた。そのがらんとした感情の廃墟の、うらぶれた山頂から、自分の人生をはるか先まで見渡すことができた。それは子供の頃に空想科学小説の挿し絵で見た、無人の惑星の荒涼とした風景に似ていた。そこにはいかなる生命の気配もなかった。一日はおそろしく長く、大気の温度は暑すぎるか寒すぎるかどちらかだった。ぼくをそこまで運んできたはずの乗り物は、いつの間にか姿を消してしまっていた。もうほかのどこにも行けない。そこでなんとか、自分の力で生きのびていくしかないのだ。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
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やる気を失うの表現・描写・類語(恐怖・不安のカテゴリ)の一覧 ランダム5
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満ち足りない悲しさ
宮本百合子 / 伸子
(大切な人が消えてしまって)そこでぼくが感じたのはたとえようもなく深い 寂寥 だった。気がつくといつの間にか、ぼくを取り囲んだ世界からいくつかの色が永遠に失われてしまっていた。そのがらんとした感情の廃墟の、うらぶれた山頂から、自分の人生をはるか先まで見渡すことができた。それは子供の頃に空想科学小説の挿し絵で見た、無人の惑星の荒涼とした風景に似ていた。そこにはいかなる生命の気配もなかった。一日はおそろしく長く、大気の温度は暑すぎるか寒すぎるかどちらかだった。ぼくをそこまで運んできたはずの乗り物は、いつの間にか姿を消してしまっていた。もうほかのどこにも行けない。そこでなんとか、自分の力で生きのびていくしかないのだ。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
「生と死」カテゴリからランダム5
不治の病をはかなんで死んだ
梶井基次郎 / Kの昇天
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ぶわあ、と、携帯から生ぬるい空気が吐きだされてきそうなほど、大きな溜息の音がした。
村田 沙耶香「コンビニ人間」に収録 amazon
頭のしんを嫉妬 の血が熱いようにのぼる
吉川英治 / 銀河まつり
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