臭いので名高いのはドリアンである。パイナップルのような大きさで、茶褐色の実の中に、カーキ色の生クリーム状のもので掩われた種がぎっしりつまっている。その一つ一つの大きさは、鶏卵ほどのものだったろうか。《…略…》舌にねっとりとしつこい味で、かすかに鼻を衝く匂があったが、私には嫌ではなかった。臭みを消すのには、中の堅い種を食べるといいといわれ、大いに通がって食べたりしたが、それはさほどおいしいものではなかった。
佐伯 彰一 / 作家の自伝 (109) 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
ドリアン
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
no data
ここに意味を表示
ドリアンの味、おいしさを伝える表現・描写(果物(フルーツ)のカテゴリ)の一覧 ランダム5
いがいがのフットボールの球のようなものがならんでいた。それがドリアンと聞いて
石井 好子「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
ドリアンを船のへさきに置いて夜釣りに出かけると、南シナ海の、太古の闇の、ねっとりとした蒸暑さの中に、あの芳烈な香りが馥(ふく)いくと立ってきて、ちょうどいい女が裸でへさきに坐っているかのような気分にとらわれたりしたものである。
開高 健 / 小説家のメニュー amazon
どろりとしたとろが、ドリアンの本来の味で、それは微かにコーヒーを混ぜた上質のソフトクリームに似ている
有吉佐和子 / 作家の自伝 109(熱帯の果物) amazon
かたい殻を削ってもらうと、中はみかん状のふくろになっていて、一ふくろの長さは十センチぐらいあり、フニャッとした、うすいみかん色のものなのだった。カラを削ったと同時に、一だんとくささが鼻をつき、食べられるというしろものではない。
石井 好子「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「果物(フルーツ)」カテゴリからランダム5
もろくて今にも崩れそうな果肉のかたまり
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
果物(フルーツ) の味・おいしさの表現の一覧
食べ物表現 大カテゴリ