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歌の声は、ともし火の光のように、次第に細りながら消えていった。
芥川龍之介 / 偸盗 ページ位置:75% 作品を確認(青空文庫)
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音が消える・聞こえなくなる
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......悲しみだけは、――空をみたしている月の光のように、大きな人間の悲しみだけは、やはりさびしくおごそかに残っている。…… なよや、末の松山 波も越えなむや 波も越えなむ  歌の声は、ともし火の光のように、次第に細りながら消えていった。そうして、それと共に、力のない呻吟しんぎんの声が、やみを誘うごとく、かすかにもれ始めた。阿濃あこぎは、歌の半ばで、突然下腹に、鋭い疼痛とうつうを感じ出したのである。           ......
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