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宝石のような思い出を記憶の中から拾い上げては悲しい気持になっていた。《…略…》それらの残像は 匙 からこぼれる粉砂糖のようにさらさらと形を変えた。
山田詠美「新装版 ハーレムワールド (講談社文庫)」に収録 ページ位置:83% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......黒のとんかつ屋で、サユリを待っていた。彼は久し振りにバスタブにつかり、白髪を撫でつけて体に香水を振った。決意を固めたにもかかわらず、彼は今までサユリと作って来た宝石のような思い出を記憶の中から拾い上げては悲しい気持になっていた。 あの伊豆の別荘で潮風にまみれて、いとおしんだサユリの手や足たち。それらの饒舌で美しい蜘蛛のようなゆったりとした動き。それらの残像は匙からこぼれる粉砂糖のようにさらさらと形を変えた。そして快楽にのけぞった顎の可憐さや、その最中でもうっとりと開けられこちらを覗く黒い瞳。そのすべてに今日、訣別しなくてはならないのだ。これが最後の晩餐になると思う......
単語の意味
粉砂糖(こなざとう)
粉砂糖・・・さらさらと一粒一粒が細かい砂糖。粉糖(ふんとう)。
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まるで自分の人生を、一つの風景として眺めさせられているかのような顔つき
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
わすれていた女のすがたが風のようにうかんできた
尾崎 士郎 / 人生劇場 青春篇 amazon
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思い出・思い出に浸るの表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(大した思い出ではない)長原のことは意識の中にあった。けれどもそれは、記憶の沼の上にちゃぷちゃぷと湧く泡のようなものだ。眉を寄せて集中すれば泡は大きくなる。けれども思いをときはなってみれば、いつのまにか底の方へ沈んでしまう。その程度のものだ。
林 真理子 / 最終便に間に合えば amazon
思い出は、これすべて、只、記憶の海を航海しているようなものである。
林 芙美子 / 浮雲 amazon
関係が純然たる過去になって詩のように心に残る
志賀直哉 / 濁った頭「志賀直哉小説選〈1〉」に収録 amazon
夢路を歩む心地で古い記憶の端々を辿る
国木田 独歩 / 武蔵野 amazon
追想は多くの迷路をたどりぬいた末に、不思議な仮睡状態に陥る前まで進んで来た。
有島武郎 / 或る女
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脳裡に宿った俤(おもかげ)が日を経るにつれて鮮やかになりこそすれ、少しも薄れようとしない
柴田 錬三郎 / 南国群狼伝 amazon
断片的な記憶が、ちょうど沼水の底から 沼気 のぷかりぷかりと浮んで来るように浮んで来た。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
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