（梅雨の合間）梅雨の中休み

（梅雨、ボロい家の室内で）ぼろ船の底に畳を敷いて大きな川を旅している自分を空想させました。

すべての表面も根も腐らせてしまうほど陰湿な梅雨

梅雨明けの公式な宣言はまだ出ていなかったが、空は真っ青に晴れ上がり、真夏の太陽が留保なく地上に照りつけていた。

みずみずしい花の色がそのまま黒土にしたたるように、紫陽花の花に雨が降りしきる

暫らく雲が途絶えたと見え、夏の陽がぎらぎら此の巷（ちまた）に照りつけて来た。

風鈴が時々ものうく鳴る。

沿道から夜空を見上げる人達の顔は、赤や青や緑など様々な色に光ったので、彼等を照らす本体が気になり、二度目の爆音が鳴った時、思わず後ろを振り返ると、幻のように鮮やかな花火が夜空一面に咲いて、残滓を煌めかせながら時間をかけて消えた。自然に沸き起こった歓声が終るのを待たず、今度は巨大な柳のような花火が暗闇に垂れ、細かい無数の火花が捻じれながら夜を灯し海に落ちて行くと、一際大きな歓声が上がった。

熱い空気がじっとりと汗ばんだ全身を包んでいた。目を閉じると、まぶたの裏が赤かった。陽に焼けていく。

ささやかな淡い光は、まるで行き場を失った魂のように、いつまでもいつまでもさまよいつづけていた