彼が部屋で感覚する夜は、昨夜も一昨夜もおそらくは明晩もない、病院の廊下のように長く続いた夜だった。
梶井基次郎 / 冬の日 ページ位置:62% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
時間が止まったように虚しい日々
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......のだった。 「何をしに自分は来たのだ」 それは彼のなかに残っている古い生活の感興にすぎなかった。やがて自分は来なくなるだろう。堯 は重い疲労とともにそれを感じた。 彼が部屋で感覚する夜は、昨夜も一昨夜もおそらくは明晩もない、病院の廊下のように長く続いた夜だった。そこでは古い生活は死のような空気のなかで停止していた。思想は書棚を埋める壁土にしか過ぎなかった。壁にかかった星座早見表は午前三時が十月二十何日に目盛をあわせたま......
ここに意味を表示
時間が止まったように虚しい日々の表現・描写・類語(寂しい・喪失感のカテゴリ)の一覧 ランダム5
二人のいる世界では、時が流れない。 橋本さんは川と小舟に譬えて話してくれた。川に浮かぶ小舟は、上流から下流へ、やがて海へと流されていく──それが、僕たちの生きている時間だ。橋本さんと健太くんの小舟は、五年前の事故で難破して、川の淀みに入ってしまった。海へ向かうことも、もちろん川をさかのぼることもできず、浮かぶでも沈むでもなく、ずっと同じ場所にある。
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon
じりじりと砂をかむような時間がゆく。
吉本 ばなな / ムーンライト・シャドウ「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「寂しい・喪失感」カテゴリからランダム5
卵の殻で自分を包んでいるような、ひ弱な孤独
福永 武彦 / 草の花 amazon
同じカテゴリの表現一覧
寂しい・喪失感 の表現の一覧
感情表現 大カテゴリ