TOP > 風景表現 > 時間帯(朝・昼・夜) > 夕方
わずかの時間しか地上に駐 まらない黄昏 の厳かな掟
梶井基次郎 / 冬の蠅 ページ位置:32% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
夕方
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......の偽瞞がある。これがその象徴する幸福の内容である。おそらく世間における幸福がそれらを条件としているように。 私は以前とは反対に溪間を冷たく沈ませてゆく夕方を――わずかの時間しか地上に駐 まらない黄昏 の厳かな掟 を――待つようになった。それは日が地上を去って行ったあと、路の上の潦 を白く光らせながら空から下りて来る反射光線である。たとえ人はそのなかでは幸福ではないにしても......
単語の意味
黄昏(たそがれ)
厳か(おごそか)
黄昏・・・1.夕暮れ。夕闇。日が沈んで、月が出るまでの間の薄い暗闇。暗くなって顔の区別ができないので、「誰そ彼(たそかれ)」つまり「お前は誰か」と尋ねるのが由来。
2.ピークの状態を過ぎてだいぶ衰えたころ。
2.ピークの状態を過ぎてだいぶ衰えたころ。
厳か・・・普段とは違うきちんとした雰囲気で、近寄りにくいさま。静かで落ちついていて、真剣にならずにいられない雰囲気があるさま。ふざけてはいけないような雰囲気。
ここに意味を表示
夕方の表現・描写・類語(時間帯(朝・昼・夜)のカテゴリ)の一覧 ランダム5
ポールの影は、夕陽が沈むにつれて淡く 混沌 と、競技場の芝生の中に 滲んで行きつつあった。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
温度が急に下がった気がして、俺は夕陽に目をやる。太陽はいつの間にか雲の後ろに沈んでいる。直射から解放されて、光も影も溶け合って、世界の輪郭がぼんやりと柔らかくなっている。空はまだ輝いていて、しかし地上は淡い影にすっぽりと包まれている。ピンク色の間接光が、周囲に満ちている。 そうだ。こういう時間帯の、呼び名があった。黄昏。誰そ彼。彼は誰。人の輪郭がぼやけて、この世ならざるものに出逢う時間。その古い呼び名。俺は呟く。 ──カタワレ時だ。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
外はまだ完全には暗みきれておらず、淡く滲んだ 朽葉色の照明が、狭い路地を抜けて、これから食事に向かう人々の明るい表情に反射している。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「時間帯(朝・昼・夜)」カテゴリからランダム5
金閣には潮のように夜が押し上げ
三島 由紀夫 / 金閣寺 amazon
夜が死人のように静まりかえる
志賀 直哉 / 志賀直哉短篇集(剃刀) amazon
同じカテゴリの表現一覧
時間帯(朝・昼・夜) の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ