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......た。「始めのうちはそりゃ楽しかったかもしれない。でもね、朝から晩まであればかりやってみなよ、誰だってうんざりするさ」「いや」と鼠は首を振った。「俺はしないね」　ジェイズ・バーは久し振りに客で込みあっていた。見覚えのない顔が殆んどだったがそれでも客は客というわけで、ジェイの機嫌は悪かろうはずもなかった。アイスピックが氷を砕く音、オン・ザ・ロックのグラスを回すカチカチという音、笑い声、ジュークボックスのジャクソン・ファイヴ、漫画の吹き出しのように天井に浮かんだ白い煙、まるで夏の盛りがもう一度巡ってきたような夜だった。　それでも鼠には、どうも何かが違っているように思える。彼はカウンターの端に一人でぽつんと座り、開きっぱなしになった本の同じページを何度も読み返してからあきらめて......