（危険を察する）胸の警戒信号が半鐘よりも高く鳴り響く

（見透かす）こちらの心を何もかも 見透して、優しく理解するような目

飛び出してお出でよッ！　誰も知らない処（ところ）で働きましょう。茫々とした霞（かすみ）の中に私は神様の手を見た。真黒い神様の腕を見た。

雷のような直感が、俺の背筋のあたりを貫いた。

尋恵は雪見の立場が悪くならないように気遣ってか、遠回しの言葉を選んでいる。勲は仕方なく、その言葉の裏を読んでみる。

ふっとなつかしく頭に浮んで来る。

それから発展した別な考えが頭の中をひらめいて光った。

情報が積み木だとすれば、情報から推測する仮説は、積み木の城だ。つい先ほどまで、成瀬の頭の中には城ができあがっていた。林の死体を発見した時にも、その城が崩れることはなかった。自分の推測は誤っていないと確信したほどだ。それが電話のリダイヤルボタンを押して、響野が出た瞬間に崩れた。予期していない積み木が上から降ってきたようだった。 　響野が電話に出る理由が見あたらない。

地下に流れる水脈を、無意識に察知できる人間がいるのと同じように、人の嘘が分かった。

電気にでもかかったように、はっとした。彼は、ある重大な事実に思いあたったのである。