三人の体をボタンでも縫いつけるみたいに要領よく柱に縛りつけた。三人はもう何を言っても無益だと悟ったらしく、黙ってされるがままになっていた。
村上春樹 / パン屋再襲撃「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 ページ位置:93% 作品を確認(amazon)
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拘束される
人質
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前後の文章を含んだ引用
......うとしたのだろう。彼女の気持は僕にもなんとなくわかるような気がした。 妻はそれからポケットから荷づくり用の細びきの紐をとりだし──彼女は何でも持っているのだ──三人の体をボタンでも縫いつけるみたいに要領よく柱に縛りつけた。三人はもう何を言っても無益だと悟ったらしく、黙ってされるがままになっていた。妻が、「痛くない?」とか「トイレに行きたくない?」とか訊いても彼らはひとことも口をきかなかった。僕は毛布に銃を包み、妻は両手にマクドナルドのマーク入りの手さげ袋......
単語の意味
体(からだ)
体・・・頭・胴・手足など、肉体全体をまとめていう言葉。頭からつま先までの肉体の全部。身体。体躯。五体。健康。体力。
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黙る・沈黙の表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
黙りが重くなってきた
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
(夜道での会話)もうほとんど立ち止まっている二人を、無灯火の自転車が後ろから追い抜いていく。そこに生まれた小さな風が、沈黙を埋められずに散っていった。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
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拘束されるの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
ガムテープの木乃伊となった男はその場で転がりはじめる。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
ガムテープで身体が椅子に縛りつけられている。その安っぽさがよけいに残酷に見えた。任務に失敗した間諜が、机に縛りつけられて、拷問を待つ姿を想像させた。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
男が司祭の両手をうしろに縛った。縄は体を少しでも動かすと、思わずくいしばった歯から声が洩れるほど手首に強く食いこんだ。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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人質の表現・描写・類語(事件・事故のカテゴリ)の一覧 ランダム5
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「声・口調」カテゴリからランダム5
年をとって、若い渋味のない声
林芙美子 / 新版 放浪記
おはじきをはじくように言った
朝井 リョウ / 燃えるスカートのあの子「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
「動作・仕草・クセ」カテゴリからランダム5
ホールはまだぱちぱち手が鳴っています。それどころではなくいよいよそれが高くなって何だかこわいような手がつけられないような音になりました。
宮沢賢治 / セロ弾きのゴーシュ
有島武郎 / 或る女
「事件・事故」カテゴリからランダム5
(ハシッシを吸ってしばらくすると、)秘密のスイッチをオンにするようなかちんという音が耳元で聞こえ、それから天吾の頭の中で何かがとろりと揺れた。まるで粥を入れたお椀を斜めに傾けたときのような感じだ。脳味噌が揺れているんだ、と天吾は思った。それは天吾にとって初めての体験だった――脳味嗜をひとつの物質として感じること。その粘度を体感すること。(家の外で鳴く)フクロウの深い声が耳から入って、その粥の中に混じり、隙間なく溶け込んでいった。《…略…》彼の脳味噌はとろりと重く、原始の海のように生命の萌芽を湛えていた。しかしそれは彼をどのような地点にも導かなかった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
窓から悪戯をしているように赤い舌が覗いたり隠れたりする
辻井 喬 / 暗夜遍歴 amazon
煙は勢いよくなったかと思うと少し収まりというのをくりかえしていた。人々は大声で何かを叫んだり命令したりしていた。ぱたぱたと大きな音をたてて新聞社のヘリコプターがやってきて写真を撮って帰っていった。
村上春樹 / ノルウェイの森 amazon
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