西嶋が投げたボールは、レーンの右寄りの位置から綺麗に回転しながら進み、半分を越えたあたりで、緩やかに左側に曲がりはじめる。カーブなのかフックなのかは判然としないが、とにかく曲がる。その曲がり方は期待を持たせる膨らみを伴っていたが、結局は、一番ピンを行き過ぎ、横のピンに当たった。左側が抉られたように、ピンが残った。
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......った。二日前のフォームとはずいぶん違っていたからだ。安定した投げ方だった。東堂は近くにあった椅子に、腰を下ろす。椅子の位置は高く、レーンの様子がよく見渡せた。 西嶋が投げたボールは、レーンの右寄りの位置から綺麗に回転しながら進み、半分を越えたあたりで、緩やかに左側に曲がりはじめる。カーブなのかフックなのかは判然としないが、とにかく曲がる。その曲がり方は期待を持たせる膨らみを伴っていたが、結局は、一番ピンを行き過ぎ、横のピンに当たった。左側が抉られたように、ピンが残った。首を捻りながら西嶋は戻ってくる。おかしいなあ、という顔だ。そして、椅子に置いた本を手に取り、じっくりと読みはじめた。 ボウリングの教本だ、とは見当がついた。 西......
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ピンが弾き飛ぶ音が心地良く、自分の身体の中がその音で掃除でもされるかのようだった
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
西嶋が投げたボールは、レーンの右寄りの位置から綺麗に回転しながら進み、半分を越えたあたりで、緩やかに左側に曲がりはじめる。カーブなのかフックなのかは判然としないが、とにかく曲がる。その曲がり方は期待を持たせる膨らみを伴っていたが、結局は、一番ピンを行き過ぎ、横のピンに当たった。左側が抉られたように、ピンが残った。
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レーンの右寄りの場所から転がり出したボールは、ガーターの溝と平行に、綱渡りを楽しむかのように、まっすぐ転がった。床を走るボールは、ほどなく、急に肩の力を抜くように、方向を変え、左へと曲がった。 いったん、回転を止めるような素振りを見せると、直線方向へ、つまり、ピンの正面へと、向かった。まるで、そこへのレールが敷かれていたかのように、ボールは一番ピンと二番ピンの間に、吸い込まれる。 弾いた。ボールはピンを飛ばし、自ら弾けた。叫喚するような音が、レーンの先から響いた。
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絶望の象徴とも言えるスプリット
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
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選手たちの表情には、ただならぬものがあった。ボールの奪い合い方にも、ぶつかり合い方にも、スポーツというよりケンカに近い、反則すれすれのつばぜりあいが見られるのだった。 もつれて転倒し、 睨み合って立ちあがり、いまにもつかみかからんばかりの形相で向かい合う選手と選手の足元に、ボールが仲裁に入るように転がっていく。審判員のホイッスルが響いて、かろうじて均衡が保たれる。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
一粒でもしぶきを少なくして、針を突き刺すように入水するために、その瞬間純の手首は二つぴったり重なり合って、揺れる水の壁を突き破ってゆく。
小川洋子 / ダイヴィング・プール「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
大半の時間は基礎練習の反復で、内容は、ほとんど教則本を書くように合理的に、網羅的に計画した
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
矢が的板に当るたびに、畳を叩くような音が出るのであった。
上林 暁 / 野「上林暁全集〈第3巻〉小説(3)」に収録 amazon
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