簾の外の往来が、目まぐるしく動くのに引換えて、ここでは、甕 でも瓶子 でも、皆赭 ちゃけた土器 の肌 をのどかな春風に吹かせながら、百年も昔からそうしていたように、ひっそりかんと静まっている。
芥川龍之介 / 運 ページ位置:10% 作品を確認(青空文庫)
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静けさ・静寂
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前後の文章を含んだ引用
......わちょうしなもの言いをして、下唇を舐 めながら、きょろきょろ、仕事場の中を見廻した。――竹藪 を後 にして建てた、藁葺 きのあばら家 だから、中は鼻がつかえるほど狭い。が、簾の外の往来が、目まぐるしく動くのに引換えて、ここでは、甕 でも瓶子 でも、皆赭 ちゃけた土器 の肌 をのどかな春風に吹かせながら、百年も昔からそうしていたように、ひっそりかんと静まっている。どうやらこの家の棟 ばかりは、燕 さえも巣を食わないらしい。…… 翁 が返事をしないので、青侍はまた語を継 いだ。 「お爺 さんなんぞも、この年までには、随分いろんな事......
単語の意味
長閑(のどか)
春風(はるかぜ・しゅんぷう)
往来(おうらい)
春風・・・春に吹く風。東または南から吹く暖かて穏やかな風。
往来・・・1.行き来(いきき)。行ったり来たりすること。
2.道路。通り。
2.道路。通り。
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静けさ・静寂の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
まるで、真空のような静かさだ。
吉川英治 / 雲霧閻魔帳
飼育場はしんと静まりかえっていた。羊たちはあのブルーの目でそれぞれの沈黙の空間をみつめているのだろう。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
あたりは深山のようにしーんとしていた。
有島武郎 / 或る女
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空虚のような静寂が拡がった。
宮本百合子 / 伸子
柚子の樹に包まれた家々は、ひっそりと静まりかえり、どこからも物音ひとつ聞えない。音という音はすべて、無数の柚子の実が吸いとってしまうのだろうか。
瀬戸内 寂聴 / 私の京都 小説の旅 amazon
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