アスファルトの緩い上り坂から橋へと地面が切り替わったとき、それまで右膝ばかりに感じていた重力による苦痛はだいぶ軽減したと、マサルは実感した。《…略…》あらゆる舗装路は水捌けが考慮され、中央部に盛り上がりをもたせ両端は低くしてある。左端を走れば、中央山側に振り下ろす右足にどうしても体重が大きくかかる。
羽田 圭介 / 一丁目一番地「ミート・ザ・ビート (文春文庫)」に収録 ページ位置:0% 作品を確認(amazon)
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マラソン
走る・駆け回る
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一丁目一番地 アスファルトの緩い上り坂から橋へと地面が切り替わったとき、それまで右膝ばかりに感じていた重力による苦痛はだいぶ軽減したと、マサルは実感した。橋に入る手前数十メートルより続いていた過度に狭く暗かった道から一気に視界が開け、水銀灯に照らされた歩行者通行路の真ん中を彼は走る。タイル貼りの地面はアスファルト......<中略>......るものではないとマサルは自負している。 街道沿いに、その後出くわしたいくつかの信号機を普通に渡ったり、無視を決めこんだりしながら歩道の左側をマサルは走り続けた。あらゆる舗装路は水捌けが考慮され、中央部に盛り上がりをもたせ両端は低くしてある。左端を走れば、中央山側に振り下ろす右足にどうしても体重が大きくかかる。また段々と、右膝にうっすらとした痛みを感じるようで、ミニバンが通り過ぎるのを待ちマサルは車道の反対側に渡った。どちらにせよもうすぐある交差点を右折するのだから、進行方向右側、こちらの歩道を走るほうが都合がよい。だが渡ってみてマサルは気づいたが、道路の右側に移ったとはいえ歩道の左側を今も走ってしまっており、......
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風のように走れたのです。息 も切れず膝 もあつくなりませんでした。
宮沢賢治 / 銀河鉄道の夜
疾風のように馳 けて来た。
横光利一 / 日輪
(犬が)あと足に砂を蹴上 げながら真一文字に追いすがった。
芥川龍之介 / 偸盗
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飛ぶようにしてそこから三里ある村へ向けて走り出した。
深田 久弥 / 四季の山登り (1963年) amazon
彼女は右手でショルダー・バッグのストラップを握り、まるでリズムをとるみたいに体のわきで左手を軽く振っていた。背筋をまっすぐにのばして歩くせいで彼女は実際以上に背が高く見えたし、歩くテンポも僕よりずっと速かった。
村上春樹 / 双子と沈んだ大陸「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
手足の関節の接合が悪いように、ふらふら歩く兵士
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
「スポーツ」カテゴリからランダム5
紙一枚ほどの微妙な軌跡と接点を確実にとらえながら、親玉は三回のクッションを果たして目的の玉に 還って来た。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
身体はふわりと宙に浮き、古着の塊のようにぼさっと泥のなかへまた投げ出された。
伊藤 整 / 馬喰の果て (1954年) amazon
精気のない白玉の動きだったが、それは邦彦の息をふっと一瞬とめてしまうほど微妙に、薄く薄く赤玉をかすめていく
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
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