おにぎりの一口目は味気ないものである。一口目がおにぎりの中心部の梅干しのところに到達するということはない。

熱い握り飯はうまい！

塩は、ミネラルを豊富に含みまろやかで深い味わいを持つ「瀬戸備前にがり塩」を使う。昔風の温かみのあるおいしさを作り出せる。

稲荷ずしに於ける油揚げは、おかずではなく一種の皮である。 　おにぎりに於けるノリと同じように、一種のパッケージともいえる。

コシヒカリは冷めてもおいしく、おにぎりには最適の品種

米の飯ほどうまいものはない。ご飯の唯一の欠点はうますぎて、つい、食べ過ぎてしまうこと。

折詰めの特上のトロはねっとりしていた。イカも白く輝いていた。

品種によって香りの強弱、その質の違いはあるけど、共通しているのは炊きたてのご飯の持つ、あのむせ返るような芳醇な香り

常客のひとりが、いつか私に、 「松つぁん（寿司屋のあるじ）は、いのちがけで鮨をにぎっとるからねえ」 　しみじみと、ささやいたことがあった。 　にぎっているときのあるじの両眼は、たしかにするどい。 　全神経を張ってにぎっている感じがするときがある。 　にぎり終えて客の前に出すとき、あるじの顔に、ほっとした微笑が浮ぶ。 　よくはわからぬが、にぎりつづけて一日が終ったときの疲れは相当のものにちがいない。

手巻きの鉄火をつけたのはよいが、親指ほどのふといまぐろが飯からはみ出し、きたならしいことおびただしい。