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町の後ろの山へ廻った陽がその影を徐々に海へ拡げてゆく。町も磯も今は休息のなかにある。その色はだんだん遠く海を染め分けてゆく。沖へ出てゆく漁船がその影の領分のなかから、日向のなかへ出て行くのをじっと待っているのも楽しみなものだ。オレンジの混った弱い日光がさっと船を漁師を染める。見ている自分もほーっと染まる。
梶井基次郎 / 海 断片 ページ位置:4% 作品を確認(青空文庫)
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日の入り・日没
夕方の海
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前後の文章を含んだ引用
......青や朽葉 の色が湧いて来る。今にもその岸にある温泉や港町がメダイヨンのなかに彫り込まれた風景のように見えて来るのじゃないかと思うくらいだ。海の静かさは山から来る。町の後ろの山へ廻った陽がその影を徐々に海へ拡げてゆく。町も磯も今は休息のなかにある。その色はだんだん遠く海を染め分けてゆく。沖へ出てゆく漁船がその影の領分のなかから、日向のなかへ出て行くのをじっと待っているのも楽しみなものだ。オレンジの混った弱い日光がさっと船を漁師を染める。見ている自分もほーっと染まる。 「そんな病弱な、サナトリウム臭い風景なんて、俺は大嫌いなんだ」 「雲とともに変わって行く海の色を褒 めた人もある。海の上を行き来する雲を一日眺めているのもいいじゃな......
単語の意味
日向(ひなた)
磯(いそ)
沖(おき)
日光(にっこう)
日向・・・太陽の光が当たっている場所。⇔日陰。
磯・・・海や湖などの波打ち際で、とくに岩の多い場所。
沖・・・海や湖の岸から離れた所。
日光・・・日の光。大陽光線。
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日の入り・日没の表現・描写・類語(時間帯(朝・昼・夜)のカテゴリ)の一覧 ランダム5
暗い西の空から大空の高い天頂にかけてかすかに光のさまようているような最後の暮の色
野間宏 / 第三十六号「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
さっきまで遠くの稜線にわずかに残っていた夕焼けが、暗がりに飲み込まれていた。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
黒いとびとびの家に灯がともる。ただ西の空だけが、いまなお長く引いた冷たい黄色い光に明るんでいる。
野間宏 / 第三十六号「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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夕方の海の表現・描写・類語(水面・水中・水辺のカテゴリ)の一覧 ランダム5
海が暮れ方の紫紺の水平線を長く曳(ひ)く
大仏 次郎 / 雪崩 (1953年) amazon
夕方の海は、いつもオレンジ色の鏡のように光っていた。
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon
巨大な太陽が西に落ちて水平線がトマト・ソースのような赤に染まり、サンセット・クルーズの船が帆柱に灯をともし始めるまでそこに寝転んでいた。彼女は最後の一筋の光までを味わっていた。
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
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「水面・水中・水辺」カテゴリからランダム5
小波が微かな息を立てているだけの小さな浜
曽野 綾子 / 夫婦の情景 amazon
耳元で、しきりに風が鳴っている。冷たくはないが、たっぷりと潮を含んでいるため、頬へ手をやると粘つく感触が指先に残る
原田宗典 / すれちがうだけ「しょうがない人」に収録 amazon
沼の霧が、モヤモヤと妖精が棲む毒気のよう
檀 一雄 / リツ子・その愛 amazon
「時間帯(朝・昼・夜)」カテゴリからランダム5
鹿児島湾がきらきらと光るのが見える。そしてその後ろに九州の山々が朝日を浴びつつ、緑の色に塗られていく。
百田尚樹「永遠の0」に収録 amazon
荒涼たる荒野が、燃えるようなみずみずしい夕映えの包まれる
曽野綾子 / 夫婦の情景 amazon
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