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近くの駅から出てきた仕事帰りの人たちが、大勢ふみきりが開くのを待っていました。彼らといっしょに並びながら、私は自分ひとりだけにせもののような気がしていました。私以外の人たちは今日という日をついさっきまで働いて過ごし、疲れているのに、私は今日という日をいま始めたばっかりで、しかもこれからも働く予定はないのです。にせものだってばれないかが不安で、周りを見回してしまいます。まっとうな一日を過ごした彼らと一日中なにもしなかったぐうたらな私とでは、多分夕陽の見え方も違うのでしょう。
綿矢 りさ / 自然に、とてもスムーズに「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 ページ位置:60% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......バッグを揺らすと、淡い赤い色が透明の湯のなかに広がっていきます。 ある日頭が痛くなるほど昼寝したあと、川まで散歩しようと夕方に家を出ると、家の近くのふみきりで、近くの駅から出てきた仕事帰りの人たちが、大勢ふみきりが開くのを待っていました。彼らといっしょに並びながら、私は自分ひとりだけにせもののような気がしていました。私以外の人たちは今日という日をついさっきまで働いて過ごし、疲れているのに、私は今日という日をいま始めたばっかりで、しかもこれからも働く予定はないのです。にせものだってばれないかが不安で、周りを見回してしまいます。まっとうな一日を過ごした彼らと一日中なにもしなかったぐうたらな私とでは、多分夕陽の見え方も違うのでしょう。 私は人生をさぼっている。 ふみきりが上がり歩き出した人たちの足取りは、家に帰るという目的がはっきり決まっているせいか迷いがないのに対して、私はなんだか元気がな......
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毎日、昼過ぎに起きても特にやることがなく、 煎餅布団に寝そべったまま天井の木目を飽きるまで眺める。
又吉直樹「劇場(新潮文庫)」に収録 amazon
見るとはなく就職情報誌をめくっていた。ここ数日間は強い虚脱感の前に何もしない日々が続いていた
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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博奕 打ちの顔が 嫌いや。みんな 揃いも揃って独特の顔をしてる。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
(刑事が)容疑者をいたぶる際に見せる、爬虫類的な嫌らしい感じ
東川 篤哉 / 謎解きはディナーのあとで 2 amazon
連日の過酷な取り調べで疲労困憊 した被告人から誘導を重ねて供述を取った。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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浮き草のように流れ漂うような暮らしぶり
半村 良 / 雨やどり amazon
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