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自分の影を見ては空を見ると、その影が、空にもうつっていたあの不思議な世界
林芙美子 / 新版 放浪記 ページ位置:14% 作品を確認(青空文庫)
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見上げる・空を見る
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前後の文章を含んだ引用
......蒼あおい雲を見ていた。右へ行く路が、左へまちがっていたからと云っても、「馬鹿だねえ」と云う一言ですむではありませんか。私は自分の淋しい影を見ていると、小学生時代に、自分の影を見ては空を見ると、その影が、空にもうつっていたあの不思議な世界のあった頃を思い出してくるのだ。青くて高い空を私はいつまでも見上げていた。子供のように涙がきあふれて来て、私は地べたへしゃがんでしまうと、カイロの水売りのよう......
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