朝日が渺々たる波の彼方に昇る

鹿児島湾がきらきらと光るのが見える。そしてその後ろに九州の山々が朝日を浴びつつ、緑の色に塗られていく。

朝日が昇り、砂漠は蜂蜜色に輝き始める。

朝といってももう十時ばかり、日の光は狭い部屋の隅々にまで透明な冬の明るさを投げていた。

もろもろの陰は深い瑠璃色（るりいろ）に、もろもろの明るみはうっとりした琥珀色（こはくいろ）の二つに統制されて来ると、道路側の瓦（かわら）屋根の一角がたちまち灼熱（しゃくねつ）して、紫白（しはく）の光芒（こうぼう）を撥開（はっかい）し、そこから縒（よ）り出す閃光のテープを谷窪のそれを望むものものに投げかけた。

星の散らばる空

しいんとした薄暮のいろが低く水面に降りていた。

バラの花びらをすかしてみるような夜あけの光

夜明けがやってきて、ニワトリが鳴き、東の空が明るくなる。

もう夜が明けていた。カムサツカの連峰が金紫色に輝いて、海から二、三寸位の高さで、地平線を南に長く走っていた。小波（さざなみ）が立って、その一つ一つの面が、朝日を一つ一つうけて、夜明けらしく、寒々と光っていた。――それが入り乱れて砕け、入り交れて砕ける。その度にキラキラ、と光った。鴎の啼声が（何処（どこ）にいるのか分らずに）声だけしていた。――さわやかに、寒かった。

日差しが薄い皮膚をじりじりと刺激する

僕は午前八時半に目を覚ました。前日と同じように雲ひとつない上天気だった。まるで昨日のつづきみたいだな、と僕は思った。夜のあいだ 一時 中断していた人生のつづきがまた始まったのだ。

紺青に底光りする海の上に朝日が赤々と昇る

畑の真中ほどに桐の樹が二本繁っている。葉が落ちかけて居るけれど、十月の熱を凌（しの）ぐには十分だ。

川ぞいの窓から 薄陽 が差し込んで、そのおぼろな光がひそやかに店の底で 澱よどんでいる。