根雪が氷のように磐 になって、その上を雪解けの水が、一冬の塵埃 に染まって、泥炭地 のわき水のような色でどぶどぶと漂っている。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:75% 作品を確認(青空文庫)
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晩冬・春先
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前後の文章を含んだ引用
......一本の鉛筆とを潜まして。 家を出ると往来には漁夫たちや、女でめん(女労働者)や、海産物の仲買いといったような人々がにぎやかに浮き浮きして行ったり来たりしている。根雪が氷のように磐 になって、その上を雪解けの水が、一冬の塵埃 に染まって、泥炭地 のわき水のような色でどぶどぶと漂っている。馬橇 に材木のように大きな生々しい薪 をしこたま積み載せて、その悪路を引っぱって来た一人の年配な内儀 さんは、君を認めると、引き綱をゆるめて腰を延ばしながら、戯れた調......
単語の意味
磐(ばん)
根雪(ねゆき)
磐・・・大きな岩。平らで大きな岩。磐石(ばんじゃく)。
根雪・・・最初のころに降り積もった雪が、とけずに固まって、雪解けの季節まで残ること。また、その雪。
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なんという美妙な美しい色だ。冬はあすこまで遠のいて行ったのだ。そう思うと、不幸を突き抜けて幸福に出あった人のみが感ずる、あの過去に対する寛大な思い出が、ゆるやかに浜に立つ人の胸に流れこむ。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
金魚売りが天秤棒 をになって、無理にも春をよび覚 ますような売り声を立てる季節にはなった
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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春先の夕暮れ特有の郷愁をはらんだざわめき
森 瑤子 / 傷 amazon
外はもう春の日差しだ。風が緩み、かすかに緑の匂いをはらんでいる。
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 amazon
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少しずつ、庭の桜が開いていく。二階の窓から、庭木の緑の中のピンクの分量がじょじょに増えてゆくのを毎日見ているだけで楽しい。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
空が、初冬の朝の拭き清めたような輝きに満ちる
佐多 稲子 / 素足の娘 amazon
落葉松の小枝から霧氷がぱらぱら散って、桜の落花のよう
川端康成 / 掌の小説 amazon
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