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桑木はその暗い部屋から出て本館二階の普通病室に移された。個室だったが窓から溢れている外光が眼に痛かった。その窓枠の下には届けられた花がいくつもならんでいた。知り合いの人たちの見舞だが、赤い、華やかな色はこれまでの灰色の壁だけの部屋とは別世界だった。桑木は地獄から帰還したような心持になった。
※備考※ 暗い重症患者室から普通病室に移る
松本 清張 / 与えられた生「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 ページ位置:19% 作品を確認(amazon)
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患者・病人・けが人
命拾い・九死に一生を得る
病室
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前後の文章を含んだ引用
......うであった。彼は陰気な、暗い重症患者室に横たわってはいたが、心は早くも画室にあった。それから、写生のために車を走らせている運転台の自分の姿も浮んだ。 四日後に、桑木はその暗い部屋から出て本館二階の普通病室に移された。個室だったが窓から溢れている外光が眼に痛かった。その窓枠の下には届けられた花がいくつもならんでいた。知り合いの人たちの見舞だが、赤い、華やかな色はこれまでの灰色の壁だけの部屋とは別世界だった。桑木は地獄から帰還したような心持になった。 孝子は花を届けてくれた人たちの名前を云った。「これ、高岡さんからよ」 彼女はカトレヤとカーネーションのまじっている花束を指して云った。花瓶が足りないので病院か......
単語の意味
外光(がいこう)
外光・・・建物の外の太陽の光。また、戸外から差し込む光。
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患者・病人・けが人の表現・描写・類語(人の印象のカテゴリ)の一覧 ランダム5
叔父は三年後に腸の癌を患い、体中をずたずたに切り裂かれ、体の入口と出口にプラスチックのパイプを詰め込まれたまま苦しみ抜いて死んだ。最後に会った時、彼はまるで狡猾な猿のようにひどく赤茶けて縮んでいた。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
患者の手足はかたくこわばり、木づくりの人形のようだった
北社夫 / 夜と霧の隅で amazon
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命拾い・九死に一生を得るの表現・描写・類語(生と死のカテゴリ)の一覧 ランダム5
死の 篩 にかけられて、生き残った人たち
百田尚樹「永遠の0」に収録 amazon
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病室の表現・描写・類語(室内のようすのカテゴリ)の一覧 ランダム5
カーテンの向こうは、冷たい光を反射するリノリウムの床に医療機器や酸素ボンベなどが雑然と置かれた処置室だった。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
病室の中央には、十分に乾燥したシーツでたっぷりと包まれたベッドがあった。それは大きな白い動物がうずくまったように重そうだった。クリーム色の壁紙でおおわれた病室で、ベッドの白さがくっきりと浮かび上がっていた。いろいろなものが、その白く盛り上がったベッドを中心に配置されていた。普通の家の寝室やホテルのベッドと違って、それはもっと意味深いもののように思えた。ベッドの周りに病室があるような感じがした。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
(広めの個室の病室)部屋の中は、トイレもお風呂もついていて、簡単なソファセットもあり、堅苦しいベッドがある以外は、ワンルームマンションのようだ。
瀬尾 まいこ「そして、バトンは渡された (文春文庫)」に収録 amazon
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「人の印象」カテゴリからランダム5
「健康・体調・病気」カテゴリからランダム5
神秘な生命力を流し込まれるかのように、見る見る元気になる
川端 康成 / 掌の小説 amazon
体は重たい泥のように弾力なく崩折(くずお)れてゆくのだった。
阿部 知二 / 冬の宿 (1948年) amazon
「生と死」カテゴリからランダム5
母親になった喜びは、何事をも征服した勝利感に似ている
有吉 佐和子 / 華岡青洲の妻 amazon
鋭い目をした野鳥のように飛びこんできた
芝木 好子 / 隅田川暮色 amazon
「室内のようす」カテゴリからランダム5
時代のついたその畳には、彼の背中を蒸すような黄色い古びが心まで透っていた。
夏目 漱石 / 道草 amazon
鍵のあく音が、氷が寒夜にひび割れたように響きわたる
志茂田 景樹 / 月光の大死角 amazon
「病院」カテゴリからランダム5
カーテンの向こうは、冷たい光を反射するリノリウムの床に医療機器や酸素ボンベなどが雑然と置かれた処置室だった。
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
病室の中央には、十分に乾燥したシーツでたっぷりと包まれたベッドがあった。それは大きな白い動物がうずくまったように重そうだった。クリーム色の壁紙でおおわれた病室で、ベッドの白さがくっきりと浮かび上がっていた。いろいろなものが、その白く盛り上がったベッドを中心に配置されていた。普通の家の寝室やホテルのベッドと違って、それはもっと意味深いもののように思えた。ベッドの周りに病室があるような感じがした。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
モグリかと思うくらいあじけない治療院
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
緇い俎板(まないた)のような簡単な手術台
加能 作次郎 / 世の中へ amazon
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