橋が、夏とは違ってもっとよそよそしく乾くと、靴 より、日本のひより下駄 をはいて歩く音の方がふさわしい感じである。巴里に秋が来たのだ。
岡本かの子 / 巴里の秋 ページ位置:6% 作品を確認(青空文庫)
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秋
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......ら冷たくそのうえを上走り始める。中の島の岸杭がちょっと虫 ばんだように腐 ったところへ渡り鳥のふんらしい斑 がぽっつり光る。柳 が、気ぜわしそうにそのくせ淋 しく揺 れる。橋が、夏とは違ってもっとよそよそしく乾くと、靴 より、日本のひより下駄 をはいて歩く音の方がふさわしい感じである。巴里に秋が来たのだ。いつ来たのだろう、夏との袂別 をいつしたとも見えないのに秋をひそかに巴里は迎えいれて、むしろ人達を惑 わせる。そうなると、街路樹 の葉が枯葉 となって女や男の冬着の帽 や......
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風に吹かれて私は秋だわ、と思った。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
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稲の葉が、根もとから五つにわかれて天へのびていた。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
岡本かの子 / 巴里の秋
風があまり冷たくなく、一年中、こんな気候だったらいいのにというような陽気だった。
平野啓一郎「ある男」に収録 amazon
漆のような真黒な羽のひらひらする、繊(ほそ)く青い、たしか河原蜻蛉(かわらとんぼ)とも言った
泉 鏡花 / 縷紅新草 amazon
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