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声は風の途切れるように切れ、また遠ざかる。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 ページ位置:78% 作品を確認(amazon)
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遠くの音
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......りを口の中で唱えた。舌の先に苦い味が残った。「俺は生れつき弱か。心の弱か者には、殉教さえできぬ。どうすればよか。ああ、なぜ、こげん世の中に俺は生れあわせたか」 声は風の途切れるように切れ、また遠ざかる。五島に戻った時、信徒の人気者だったキチジローの姿が急にまぶたに浮んだ。迫害の時代でなければあの男も陽気な、おどけた切支丹として一生を送ったにちがいないのだ。「こ......
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