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二人が黙ると、もう彼の食事の音しか聞こえなかった。痛いくらいに冷えた静けさの中で、肉をちぎったり野菜を砕いたりする音だけがあぶりだしのように浮き上がってきた。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置:49% 作品を確認(amazon)
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静けさ・静寂 倦怠期
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前後の文章を含んだ引用
......ぶどうの果汁がしみとおっていくのを、わたしは飽きもせずじっと見ていた。それがとても快感だった。 ほおづえをついたパジャマの袖口から、夜の冷たさが忍び込んできた。二人が黙ると、もう彼の食事の音しか聞こえなかった。痛いくらいに冷えた静けさの中で、肉をちぎったり野菜を砕いたりする音だけがあぶりだしのように浮き上がってきた。「今度の週末も、ずっと病室にいていいかしら?」「ああ。いいよ。」「あなたはどんなふうに、週末過ごすの?」「実験があるんだ。だから数時間は大学に行かなくちゃいけな......
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