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(妹の死)「たくさんの虫が、一匹の死にかけている虫の周囲に集まって、悲しんだり泣いたりしている」と友人に書いたような、彼女の死の前後の苦しい経験がやっと薄い面紗 のあちらに感ぜられるようになった
梶井基次郎 / 城のある町にて ページ位置:4% 作品を確認(青空文庫)
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喪失感(大切なものを失う)
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前後の文章を含んだ引用
......んぞして」 そんなことまで思っている。 彼女がこと切れた時よりも、火葬場での時よりも、変わった土地へ来てするこんな経験の方に「失った」という思いは強く刻まれた。 「たくさんの虫が、一匹の死にかけている虫の周囲に集まって、悲しんだり泣いたりしている」と友人に書いたような、彼女の死の前後の苦しい経験がやっと薄い面紗 のあちらに感ぜられるようになったのもこの土地へ来てからであった。そしてその思いにも落ちつき、新しい周囲にも心が馴染 んで来るにしたがって、峻には珍しく静かな心持がやって来るようになった。いつも都......
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喪失感(大切なものを失う)の表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
すみれの存在が失われてしまうと、ぼくの中にいろんなものが見あたらなくなっていることが判明した。まるで潮が引いたあとの海岸から、いくつかの事物が消えてなくなっているみたいに。そこに残されているのは、ぼくにとってもはや正当な意味をなさないいびつで空虚な世界だった。薄暗く冷たい世界だった。ぼくとすみれとのあいだに起こったようなことは、その新しい世界ではもう起こらないだろう。ぼくにはそれがわかった。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
目に映るものはそこにたまたまある現実の風景でしかなくなり、聞こえてくるのは現実の音だけだった。あんなに心の中で豊かに息づいていたはずの世界は、乳色の霧にまかれたように、その輪郭すら見えなくなっていた。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
この世が終わるような喪失感
吉本 ばなな / とかげ「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
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首をガックリと胸の処まで項垂 れたまま
夢野久作 / ドグラ・マグラ
「生と死」カテゴリからランダム5
咽喉に黒い紐が毒蛇のように深く食い込む
斎藤 栄 / Nの悲劇 amazon
部屋の隅の天井板を破り、 梁 と梁のつくる直角のところに、太い薪用の割木を渡しその真中のところに麻の紐が巧みな結び目をつくってくくりつけてある。《…略…》紐はさらに死体の後頭部のところにもう一つ結び目をもっていて、そこで二本に分れて、細い白い頸の輪に食い入っている。 後頭部のぼんのくぼのところに食い入るように当っているその太い結び目。そして頸筋に捲き付いた麻紐は毛ののびはじめた頭髪をさかさになで上げるようにして、まるで頭部と頸部の境界線ででもあるかのようにその皮膚を変色させている。
野間宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
自分の肉体のたった一つの謬着物 をもぎ取られて、永遠に帰らぬ世界へ持ち去られるような気持ち
岡本かの子 / 渾沌未分
幼少期から馴染んだおじいちゃんの顔が、こうしてなにか粘土で造った人形のような感じになってしまった
滝口 悠生 / 死んでいない者 amazon
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