語り草になるほど華やかな恋愛

野呂を恋しく思う気持ちはふくらむばかりで、それは明らかにわたしを別の人間に変えてしまった。 　恋に関すること以外の話題は、途方もなくつまらないものに感じられた。

会えない時でもつながっていたいと願う気持ちが強すぎて、胸が熱く張り裂けそうになった。

日本の女は形式的には男から冷淡にされるけれども、内容的にはたいへん愛される

こうして街を見ていて、行きかう女の顔が、みんな萃（人名）に見える。

「……守ちゃんが女の脚の話なんかすると、ゾッとするわ」股の隙間を手探りされたような不快感で、蜜枝は首をすくめた。

性欲を解き放ったあとの男の人は、すさんでいる、とまではいかないけれど、ぶっきらぼうな、少年のころの瞳に戻る。男の人たち自身は〝賢者モード〟なんて呼んでおちゃらけているけど、じっさいはどんなときよりも、一匹で山を歩くおおかみみたいな顔つきをしている。

彼女のことで息苦しいくらい頭が一杯

魂に刻まれた遠い憧れのように愛しい

かごの中の鳥が空に恋するように

着物の中に手を入れてもそもそと動かす

唐突な動作で唇を吸われる。歯を割って舌が入ってくる。口と口をつないでできる限りのことをしようと、しばらくもみ合うような動きになる。

二人のからだは、縁から少しずつ、更けゆく夜の一部と化していった。見つめ合い、折々 萌す笑みを、熱を帯びた唇で移し合った。

結婚は、蚕が成長して繭をくいやぶるように人間にとって自然なものであります

彼は、始終、彼女のことを考えて胸を熱くしていた。そして、ようやく会えると、 堪らえていた熱い 塊 りは溶け出すのだった。《…略…》彼は溶けた熱い想いの中に自分を浸すことでしか、もう自らを確認できなかった。その中にぽっかりと浮かんだ心臓は、活発に動いて血を送り出し、彼はますます深みにはまって行くのだった。