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現場へ行って見ても小さなランチは波に揉まれるばかりで結局かえって邪魔をしに行ったようなことになってしまった。
梶井基次郎 / 海 断片 ページ位置:89% 作品を確認(青空文庫)
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足手まとい
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前後の文章を含んだ引用
......飛んで来た。港の入口の暗礁へ一隻の駆逐艦くちくかんつかって沈んでしまったのだ。鉄工所の人は小さなランチへ波のしのぎに長い竹竿を用意して荒天のなかを救助に向かった。しかし現場へ行って見ても小さなランチは波に揉まれるばかりで結局かえって邪魔をしに行ったようなことになってしまった。働いたのは島の海女あまで、激浪のなかを潜っては屍体を引き揚げ、大きな焚火たきびいてそばで冷え凍えた水兵の身体を自分らの肌で温めたのだ。大部分の水兵は溺死した。その溺死......
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