(食が細くなる患者)弟の膚の白さは、食べ物を戻せば戻すほど純粋になっていくような気がした。弟の身体から、だんだん匂いが消えていった。弟は、病室の清らかさの中にかっちりと組み込まれていった。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置:42% 作品を確認(amazon)
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患者・病人・けが人
病室
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......、ごめん」と言ってベッドを降りる弟の首筋のもろさや、黒いビニール袋の結び目の、つるつると湿っぽい感触を思い出すと、わたしの内臓はいっせいに口を閉じてしまった。 弟の膚の白さは、食べ物を戻せば戻すほど純粋になっていくような気がした。弟の身体から、だんだん匂いが消えていった。弟は、病室の清らかさの中にかっちりと組み込まれていった。 不思議なことに、ぶどうだけがすんなりわたしたちに受け入れられた。特にコールマンがよかった。わたしたちは今まで、ぶどうをこんなふうに特別な食べ物として考えたこと......
単語の意味
身体(しんたい)
身体・・・人のからだ。肉体。
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血液なんて一滴も流れていないかのような白くて弱々しい弟の腕
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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病室の表現・描写・類語(室内のようすのカテゴリ)の一覧 ランダム5
飾りけも何もない板張りの病室
有島武郎 / 或る女
陰気な、暗い重症患者室
松本 清張 / 与えられた生「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
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「人の印象」カテゴリからランダム5
血の気のない影法師みたいな男
夢野久作 / あやかしの鼓
(殺し屋のオーラ)穏やかな顔、鋭い視線、鈴木を見透かすような発言、あれらは特別な立場の男が持つ独特の迫力にも感じられた。向かい合って話をしているだけで、刃先で切られる気分になった。《…略…》あのただならぬ、静かな圧迫感は、尋常ではない。あれが押し屋でないとすれば、彼の持つ違和感の説明がつかない。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー amazon
威光に恐れて逃げる
夏目漱石 / 吾輩は猫である
「健康・体調・病気」カテゴリからランダム5
額にのせた濡布も、瞬時にして、湯に入れたようにあつくなってしまう
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
「室内のようす」カテゴリからランダム5
硝子戸越しに見る戸外は、風があって樹木が揺れているのに、いやに静かで、水族館の硝子越しに見る水の中の世界のようでした。
井上 靖 / 猟銃「猟銃・闘牛 (新潮文庫)」に収録 amazon
「病院」カテゴリからランダム5
陰気な、暗い重症患者室
松本 清張 / 与えられた生「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
病院の窓々にはうるんだ灯がともり、港にはいる満艦飾の船のように見えた
遠藤 周作 / 海と毒薬 amazon
(療養所)窓の外には防風の役目を果たす松林が広がっている。密に茂った松林はその療養所を、活気のある現実の世界と隔てる大きな仕切り壁のようにも見えた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
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