（晴れた）空は虻（あぶ）や蜂（はち）の光点が忙しく飛び交っている。

耳をつんざくような強烈は羽音

蜜蜂（みつばち）の唸（うな）るような音

（ミツバチたちは）風にながされる花びらのように、クラリネットからながれていく音楽にのって、フワーッとながれていった。

それは無防備に増殖した、奇形の果実のようだった。表面には細かいささくれが広がり、ゆるやかな曲線模様が織り込まれていた。あまりにも大きくなりすぎ、自分でも形をまとめることができなくなって、あちこちがひび割れていた。 　そのひびの間から、はちみつがこぼれていた。血液のように濃く、静かに、ひたひたと流れていた。

やがて短く羽音がして、また静まった

赤蜻蛉の羽がまるで銀の雨の降るように見えたんです。

蠅がふたたび、彼と女との汗の臭いを慕って、首のまわりを飛びまわりはじめた。

なぜこれがひぐらしだと分かるのかと言えば、夕方の効果音として映画やゲームでお馴染みだからだ。カナカナカナという切なげな鳴き声は、実際には周囲３６０度からまんべんなく響いてきて、映画よりも余程映画らしい。

蟬 が病室のむこうで息ぐるしい程、鳴いていました。