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一条の細い煙が、朝の微風になぶられて、ためらうように揺れながら、次第にその勢を増しつつあった。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:20% 作品を確認(amazon)
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けむり
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......を取りに入った病兵が、火を失したかであった。 左手に逃げて行く兵士の群は、並足となって、谷間の奥に孤立した一つの丘を目指して進んでいた。その丘の禿げた頂上から、一条の細い煙が、朝の微風になぶられて、ためらうように揺れながら、次第にその勢を増しつつあった。 砲声は止んだ。小屋は今は太い火束となって、盛んに燃えていた。火の中から、しゅるしゅると水の流れるような音が、聞えて来た。風はなく、煙は真直に突立って、私の眼の......
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松本 清張「点と線 (新潮文庫)」に収録 amazon
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