TOP > 感覚表現 > 位置・空間 > あちこち・いたるところ
あっちでもこっちでも、太い、唸る、顫える無数の汽笛が鳴り出した。音の林立という感じであった。ボーボー空気が濤のように揺れる。それに混り、ピーピー悲鳴のような他の汽笛が追っかけ追っかけ鳴る。
宮本百合子 / 伸子 ページ位置:7% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
汽笛
あちこち・いたるところ
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......、さて戻って出すべき手紙をとりあげた時であった。 伸子は、異様な音響を聞いた。何処か遠いところで一声、急に、鋭く、長い尾を引っぱって汽笛が鳴ったと思うと、一時にあっちでもこっちでも、太い、唸る、顫える無数の汽笛が鳴り出した。音の林立という感じであった。ボーボー空気が濤のように揺れる。それに混り、ピーピー悲鳴のような他の汽笛が追っかけ追っかけ鳴る。伸子は思わず手紙を握りしめて部屋の真中に立ち竦 んだ。何事が起ったのだろう! 彼女は、本能的に窓を押しあけ、外を覗いた。パタン、パタン、あっちこっちの窓が同じよう......
単語の意味
汽笛(きてき)
汽笛・・・機関車や蒸気船などの、蒸気を吹き込んで音を出す笛。
ここに意味を表示
汽笛の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
何処か遠いところで一声、急に、鋭く、長い尾を引っぱって汽笛が鳴った
宮本百合子 / 伸子
音のあいまいな霧がひろがるように、遠い汽笛がおぼろげに伝わってくる
三島 由紀夫 / 午後の曳航 amazon
あくびでもするかのように間の抜けた汽笛をば太く鈍く響かせるばかり
永井荷風 / ふらんす物語 amazon
海底の牛が啼くような鈍い汽笛
武田 泰淳 / 風媒花 amazon
このカテゴリを全部見る
あちこち・いたるところの表現・描写・類語(位置・空間のカテゴリ)の一覧 ランダム5
このカテゴリを全部見る
「音の響き」カテゴリからランダム5
庭の樹木が夕暮近くの風に葉をさらさらとすりあわせていた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
耳元でぐるぐる 捩れながら吹きすぎていく風の音
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
礼拝がすんだあとの教会のように静まりかえっている
小川 洋子 / 余白の愛 amazon
「乗り物」カテゴリからランダム5
(夜の海で)船は風に逆らい、黙って闇へ突き進む。それは何か大きな怪物のように思われた。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
艪は梭 のように波を切り破って激しく働いた。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
「位置・空間」カテゴリからランダム5
同じカテゴリの表現一覧
音の響き の表現の一覧
乗り物 の表現の一覧
位置・空間 の表現の一覧
感覚表現 大カテゴリ