（身長一七五センチ）六十キロも切れる美容体重

痩せてもいないが、弛んだ肉もない。

電灯の光りがそれら（石の上に落ちた髪の毛）の姿を斑らに輝し出している。それは私に何か体に受けた傷に夕陽がまともにあたっているような痛ましさを見せている

猛獣の爪や牙のように、その身体の丸みは一種の武器になりうる。

やわらかな月の光に照らされた直子の体はまだ生まれおちて間のない新しい肉体のようにつややかで痛々しかった。彼女が少し体を動かすと――それはほんの僅かな動きなのに――月の光のあたる部分が微妙に移動し、体を染める影のかたちが変わった。丸く盛りあがった乳房や、小さな乳首や、へそのくぼみや、腰骨や陰毛のつくりだす粒子の粗い陰はまるで静かな湖面をうつろう水紋のようにそのかたちを変えていった。

さも愉快そうにくすくすと笑い出した。突き出た腹が、青いストライプ模様のパジャマの奥で、大きなゴムボールのように揺れた。

男の恰幅（かっぷく）もすばらしい筋肉で出来上っていた。硬緊（かたじま）りに肥えて、骨太で、上背丈（うわぜい）がある。