船は、断末魔の鯨が、荒狂う波濤 の間に身体をのたうっている、そのままだった。
小林多喜二 / 蟹工船 ページ位置:15% 作品を確認(青空文庫)
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嵐の中の船
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前後の文章を含んだ引用
......。それが、その度に太鼓の内部みたいな「糞壺」の鉄壁に、物凄 い反響を起した。時々漁夫の寝ているすぐ横が、グイと男の強い肩でつかれたように、ドシンとくる。――今では、船は、断末魔の鯨が、荒狂う波濤 の間に身体をのたうっている、そのままだった。 「飯だ!」賄 がドアーから身体の上半分をつき出して、口で両手を囲んで叫んだ。「時化てるから汁なし」 「何んだって?」 「腐れ塩引!」顔をひっこめた。 思い、思......
単語の意味
波濤・波涛(はとう)
身体(しんたい)
鯨(くじら)
波濤・波涛・・・大きな波。高い波。
身体・・・人のからだ。肉体。
鯨・・・1.クジラ目の哺乳類の総称。動物中最大の海獣。潮を吹く。後肢は退化し、前肢は鰭ひれ状、尾は尾鰭おびれ状で魚の形をしているが、魚と違って水平に広がる。種類が多く、歯のあるもの(歯クジラ)と、ないもの(ひげクジラ)とに分けられる。
2.鯨尺(くじらじゃく[=ものさしの一種])の略。
2.鯨尺(くじらじゃく[=ものさしの一種])の略。
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神秘性を漂わせる清冽な湖水の色
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さしでる光の条(すじ)が、海原の一面を赤ばんだ黄金色に染める
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浪は浪を呑み、捲き、煽 り立て
太宰治 / 走れメロス
「大暴風雨」のために、一たまりもなく操縦の自由をなくしてしまった。
小林多喜二 / 蟹工船
海の上はただ狂い暴 れる風と雪と波ばかりだ。縦横に吹きまく風が、思いのままに海をひっぱたくので、つるし上げられるように高まった三角波が互いに競って取っ組み合うと、取っ組み合っただけの波はたちまちまっ白な泡 の山に変じて、その巓 が風にちぎられながら、すさまじい勢いで目あてもなく倒れかかる。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
白い猫がいっぱいかけまわっているみたいに、海一面が白く波立つ
松谷 みよ子 / オバケちゃん amazon
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