何気なく手を出し、「ほんの二、三粒」のつもりで食べ始めると、これが止まらなくなる。二、三粒どころか、ふと気がつくと、すでに三十粒ほど食べていて、目の前に大量のカラや皮が散乱していてびっくりすることがある。
東海林 さだお「タコの丸かじり」に収録 ページ位置:62% 作品を確認(amazon)
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落花生
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......る。 ピーナツをなんとなく食べ始めて止まらなくなった、という経験はだれでもあると思う。 コタツでテレビを見ていて、ふと目の前にピーナツの袋があるのを発見する。 何気なく手を出し、「ほんの二、三粒」のつもりで食べ始めると、これが止まらなくなる。二、三粒どころか、ふと気がつくと、すでに三十粒ほど食べていて、目の前に大量のカラや皮が散乱していてびっくりすることがある。 ピーナツは食べているうちにはずみがついてくる。次第に熱中、没頭、興奮してきて、なにかしらこう、狂おしいような気持ちになっていくものである。 一粒口に入れ、それ......
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何気なく手を出し、「ほんの二、三粒」のつもりで食べ始めると、これが止まらなくなる。二、三粒どころか、ふと気がつくと、すでに三十粒ほど食べていて、目の前に大量のカラや皮が散乱していてびっくりすることがある。
東海林 さだお「タコの丸かじり」に収録 amazon
堅く締まった豆を、カリッと嚙み砕く快感
東海林 さだお「タコの丸かじり」に収録 amazon
あとを引く食品は、ピーナツのほかに、天津甘栗、「やめられないとまらない」のカッパエビセンなどがあるが、いずれも手作業がからんだ食品である。 いずれも一つずつ、手でつまんで食べる。そしてこれらに共通していえることは、それぞれの一個が、口中に入れる食品の単位としては極めて小さいということである。 だから、連続的に食べていながら、口の中は常に口さみしい状態にある。 口さみしいので次の一個を急ぐ。 カラつきの場合は、次を急いでいるのに、その間になすべきことがあまりに多い。指に力を入れてカラを割り、指を突っこみ、押し開き、豆をつまみ出し、親指と人さし指でよじって皮をむき、払い落とし、ようやく口中に投入する。 投入したとたん、口の中のほうは次を催促する。したがって当人はもどかしくあせる。もどかしくあせりつつ、ようやくまた二粒ほどを手中にし、あわただしく口中に放りこむと、口はまた次を催促する。当人はあせりにあせり、次第にヒナ鳥に餌を運ぶ親鳥のような心境になっていく。
東海林 さだお「タコの丸かじり」に収録 amazon
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梶井基次郎 / 冬の日
落花生のしわだらけの殻
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
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