本の表現・描写・類語(道具・家具のカテゴリ)の一覧 ランダム5
ベッドの周りには古い本が何列も積み上がり、まるで小さなビル街のようだった。
三上 延 / ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち amazon
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テーブルの上の時計が見える。滲んだ文字盤の上で軽やかに無慈悲に秒針が回り続けている。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
(天眼鏡でのぞくと、)面白いのは、綿ごみである。 羽織っていた女房の茶羽織の 袂 が、半分ひっくり返っていたのを直したときにつまみ上げ、食卓の上にのせて、 仔細 に眺めた。 袂の丸みそっくりの、薄くやわらかいフェルトに見えるが、天眼鏡でのぞくと、さまざまな色の繊維の寄り集りである。 どこからどうして入ったのか、何本かの毛髪らしいものが、一粒の仁丹と、一本の赤い絹糸をからめて半月型を形づくっている。 持ち上げるとこわれそうなねずみ色のそれは、間違って咲いたなにかの花のように見える。 楠は「ウドンゲ」の花というのは、こういうのではないかと思った。 印度 あたりの想像上の花で、たしか三千年に一度咲くという。吉兆とも、凶兆ともいわれている。 ねずみ色の、雲のような、鳥の巣のようなものは花弁である。銀色の小粒と赤い絹糸は、 雄蕊 と 雌蕊 に違いない。
向田邦子 / 耳「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
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