お節をつくり、荒ら家の畳を入替え、襖、障子を貼替える。これをしないと一年のけじめがつかず、さらにはまた、これから迎える新しい年への闘志がわいてこない。
池波 正太郎「食卓の情景 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:68% 作品を確認(amazon)
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おせち料理
年末・年の瀬
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前後の文章を含んだ引用
......乏暮しをしていたときなど、ひたすらに、ただもう、正月のお節をつくるための費用を捻出するため、あたまをいためていたものだ。 金がないときは、「質へ入れても……」 お節をつくり、荒ら家の畳を入替え、襖、障子を貼替える。これをしないと一年のけじめがつかず、さらにはまた、これから迎える新しい年への闘志がわいてこない。 障子貼りは私の役目で、十か十一の私が〔二銭剃刀〕を口にくわえ、障子の桟へ糊を打ってゆくとき、子供ごころにも師走の情緒へ、どっぷりとひたりこめたものである。 ま......
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