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自分のような平凡に過した半生の中にも二十年となれば何かその中に、大まかに脈をうつものが気付かれるような気のするのを感じていた。
岡本かの子 / 東海道五十三次 ページ位置:99% 作品を確認(青空文庫)
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平和(平凡)に暮らす・穏やかな日々
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......の山々が見え出した。冬近い野は農家の軒のまわりにも、田の畦 にも大根が一ぱい干されている。空は玻璃 のように澄み切って陽は照っている。 私は身体を車体に揺られながら自分のような平凡に過した半生の中にも二十年となれば何かその中に、大まかに脈をうつものが気付かれるような気のするのを感じていた。それはたいして縁もない他人の脈ともどこかで触れ合いながら。私は作楽井とその息子の時代と、私の父と私たちと私たちの息子の時代のことを考えながら急ぐ心もなく桑名に向......
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