私の顔が二重に写っている鏡の底
林芙美子 / 新版 放浪記 ページ位置:53% 作品を確認(青空文庫)
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鏡・ミラー
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前後の文章を含んだ引用
......、この人は感情家だから。」 サガレンのお由さんが私のことを誰かに言っている。私は血の上 るようなみっともなさを感じると、シャンと首をもたげて鏡を見に立って行った。私の顔が二重に写っている鏡の底に、私を睨 んでいる男の大きい眼、私は旅から生きてかえった事がうれしくなっている。こんな甘いものだらけの世の中に、自分だけが真実らしく死んで見せる事は愚かな至りに......
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百貨店の大きくひらかれた一階の、高級な、手入れの行き届いた光のなかの一点の曇りもない大きな鏡のなかで自分の顔を映せば、色々な感情は奥へ奥へとひきのばされて女自身にもつかみどころのないものに変化して、それをまんべんなく見つめて、そこからしか見えないものを、隅々まで管理しつづける
川上 未映子 / あなたたちの恋愛は瀕死「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
(化粧品売り場の鏡)貴金属を照らす用のきらきらしいライトの光が頭上から一直線に注いでいるので、楕円形の鏡のなかの女の顔はどの鏡で見るよりもロマンティックな具合に見える。手をおいたカウンターのなかからも薄水色の光がまあるく膨らんでいて、まっすぐな光が上からまあるい光を刺すこの具合がどうも数字的だわ、と感心しながら、そのなかで浮かびあがる女の鼻は少しチャーミングであるようにも見える。
川上 未映子 / あなたたちの恋愛は瀕死「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
切り取られた鏡のなかで、ぼんやりといつまでも浮かんでいるようだった。
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
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古い赤漆の黒ずんだような瓢箪
川端 康成 / 千羽鶴 amazon
(身代金の)要求文は、新聞の文字を切り抜いたものを貼って記されていた。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
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