TOP > 風景表現 > 水面・水中・水辺 > 時化・海が荒れる、波立つ
陸地に近づくと波はなお怒る。鬣 を風になびかして暴 れる野馬のように、波頭は波の穂になり、波の穂は飛沫 になり、飛沫はしぶきになり、しぶきは霧になり、霧はまたまっ白い波になって、息もつかせずあとからあとからと山すそに襲いかかって行く。山すその岩壁に打ちつけた波は、煮えくりかえった熱湯をぶちつけたように、湯げのような白沫 を五丈も六丈も高く飛ばして、反 りを打ちながら海の中にどっとくずれ込む。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:52% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
時化・海が荒れる、波立つ
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......うに、吹雪 の間からまっ黒に天までそそり立つ断崕 に近寄って行くのを、漁夫たちはそうはさせまいと、帆をたて直し、艪 を押して、横波を食わせながら船を北へと向けて行った。 陸地に近づくと波はなお怒る。鬣 を風になびかして暴 れる野馬のように、波頭は波の穂になり、波の穂は飛沫 になり、飛沫はしぶきになり、しぶきは霧になり、霧はまたまっ白い波になって、息もつかせずあとからあとからと山すそに襲いかかって行く。山すその岩壁に打ちつけた波は、煮えくりかえった熱湯をぶちつけたように、湯げのような白沫 を五丈も六丈も高く飛ばして、反 りを打ちながら海の中にどっとくずれ込む。 その猛烈な力を感じてか、断崕 の出鼻に降り積もって、徐々に斜面をすべり下って来ていた積雪が、地面との縁 から離れて、すさまじい地響きとともに、何百丈の高さから一......
単語の意味
野馬(やば・のま・のうま)
野馬・・・野に放して飼われている馬。野生の馬。
ここに意味を表示
時化・海が荒れる、波立つの表現・描写・類語(水面・水中・水辺のカテゴリ)の一覧 ランダム5
浪は浪を呑み、捲き、煽 り立て
太宰治 / 走れメロス
押し寄せ渦巻き引きずる流れ
太宰治 / 走れメロス
黒い波の峰と波の谷とがかわるがわる目の前に現われる
有島武郎 / 或る女
このカテゴリを全部見る
「水面・水中・水辺」カテゴリからランダム5
古池が、今始めて見る古洞 のように認められて
岡本かの子 / 金魚撩乱
磯波のようにまくれ返った頂上を並べた低い丘
大岡 昇平 / 野火 amazon
昆布の地肌が蛙の背中のようにきめが粗い
山崎 豊子 / 暖簾 amazon
「天災・荒れた天気」カテゴリからランダム5
同じカテゴリの表現一覧
水面・水中・水辺 の表現の一覧
天災・荒れた天気 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ