上等の人形のような女の子

女と言うよりまだ表情のどこかに少女の様子を残した娘

熱帯の花のように強烈な印象の娘

小娘の肩から胴、脇（わき）、腰へかけて、若やいだ円味と潤いと生々しさが陽炎（かげろう）のように立騰（たちのぼ）り、立騰っては逸作へ向けてときめき縺（もつ）れる

美人というよりは、仔犬か栗鼠（りす）のような感じの娘

きっちりと肉のしまった、青年らしい肩つき

あたしの手は動く、足も動く、動かしかたなんかわかってないのに、色々なところが動かせることは不思議。あたしはいつのまにか知らんまにあたしの体のなかにあって、その体があたしの知らんところでどんどんどんどん変わっていく。こんな変わっていくことをどうでもいいことやとも思いたい、大人になるのは厭なこと、それでも気分が暗くなる。

青臭いぶざまな人間の姿が青春なのだ

玉葱（たまねぎ）をむいたような子供達が、裸で重なりあって遊んでいた。

体格は良いが、ニキビが額に残っている。顔には若者特有の、感情を箱に閉じ込めたような暗さもあった。

二十歳の処女の生身が匂い立つ

ぼさっとして大きく寄りつきがたい巌石（いわお）のような男

（我が娘を純情と思う父）父は娘を神秘な童女に思い做（な）して、自家偶像崇拝慾（ぐうぞうすうはいよく）を満足せしめ

惰性が男と女の世界をずるりずるりと引いている

男と女って、寄り添って並ぶだけで、あんなにフェロモンを発散するんだ。