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淡い黄昏が降りてくる。《…略…》通りをはさんだ反対側にある高いビルの窓が並んで、きれいに青に浮かぶのを見ていた。その中で動いている人々も、上下するエレベーターも、みんなしんと輝いて薄闇に溶けてゆきそうだった。
吉本 ばなな / キッチン「キッチン (角川文庫)」に収録 ページ位置:74% 作品を確認(amazon)
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夕闇
日の入り・日没
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前後の文章を含んだ引用
......い朝のふとん、廊下に響く祖母のスリッパの音、カーテンの色……畳……柱時計。 そのすべて。もう、そこにいられなくなったことのすべて。 外へ出るともう夕方だった。 淡い黄昏が降りてくる。風が出てきて、少し肌寒い。薄いコートのすそをはためかせて私はバスを待った。 バス停の、通りをはさんだ反対側にある高いビルの窓が並んで、きれいに青に浮かぶのを見ていた。その中で動いている人々も、上下するエレベーターも、みんなしんと輝いて薄闇に溶けてゆきそうだった。 最後の荷物が私の両足のわきにある。私は今度こそ身ひとつになりそうな自分を思うと、泣くに泣けない妙にわくわくした気持ちになってしまった。 バスがカーブを曲がって......
単語の意味
淡い(あわい)
黄昏(たそがれ)
淡い・・・味や色や香りなどが薄い。光や形がぼんやりしている。
黄昏・・・1.夕暮れ。夕闇。日が沈んで、月が出るまでの間の薄い暗闇。暗くなって顔の区別ができないので、「誰そ彼(たそかれ)」つまり「お前は誰か」と尋ねるのが由来。
2.ピークの状態を過ぎてだいぶ衰えたころ。
2.ピークの状態を過ぎてだいぶ衰えたころ。
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店の外に出ると、染料を流し込んだような鮮やかな夕闇があたりを包んでいた。空気を吸い込んだら、そのまま胸まで染まってしまいそうな青だった。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
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日の入り・日没の表現・描写・類語(時間帯(朝・昼・夜)のカテゴリ)の一覧 ランダム5
太陽は入江の水平線へ朱 の一点となって没していった。
横光利一 / 日輪
山々が夕陽の最後の光を映して薄紫に輝き、頂きのなだらかな線をしばらく黒く強く暮れ残る薄白い夕の空にきわだって見せていたが、やがて潮が引くように次第に暮の色が山並から下りて来る。
野間宏 / 第三十六号「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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月のいい夜だ、星が高く光っている。
林芙美子 / 新版 放浪記
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