日比野は、自分たちにその権利があるとでも言うように、人を搔き分けて進んだ。

遮二無二突き進んだ。

おれはじゃまになる生徒の間をくぐり抜けて

（乱闘に巻き込まれる）葛練りの中で泳いでるように身動きもできなかった

真黒に群れた人波を分けて

ステッキみたいに硬い靴音

両足は地面を蹴って、肩をいからせて、大股で歩いていく。感情が燃え立っているその姿を、私には、どうしても美しいという言葉でしか表現できなかった。 　小さな青い炎のような信子ちゃんが、校門を出て見えなくなった。 　ふと視線を上げると、街の清潔な白が、いつもより鮮やかだった。 　信子ちゃんが、この街全体を染め上げているみたいだった。

空気を切るような歩き方

餓鬼のように山中を放浪する

努めて暗い往来を選び、盗人（ぬすびと）のように歩いて