一尺四方の四角な天窓

（社長室）木目の際立つ豪華な観音扉

「出入厳禁……医学部長」と筆太に書いた白紙を貼り附けた茶褐色の扉

広い廊下には天窓があって、やはり光にあふれている。 　ひとりで昼間、こんなところに寝ていると、そして四角く天井に映る陽の光を見ていると、何だかずるをして保健室に来ているみたいな気がした。目を閉じると、本当にその気になる。休み時間の廊下の雑然とした響きや、チャイムと共にそれがぴたりとおさまってしまう音の幻を心地よく感じていた。 　そういうとき、魂は丸ごとかえってゆく。 　子供のころの、後ろめたくて気持ちいいあの眠りに。

氷のように冷ややかな鉄の扉

（川べりの部屋）大きな窓。そして川。川がこの部屋の中心だ。 　ダイナミックな景観は、窓という額縁の中の生きた絵だ。船が行く。

レースのカーテン越しにも、天気の悪さがわかる。

四角に空を切りぬいた窓の中には、枇杷（びわ）の木が、葉の裏表に日を受けて、明暗さまざまな緑の色を、ひっそりと風のないこずえにあつめている。

硝子（ガラス）窓から柿の葉が覗（のぞ）いている。

（夜の）庭に面したサッシの大ガラスにうつる自分を見ていた。 　中が明るいので庭はほとんど見えない。

「出入厳禁……医学部長」と筆太に書いた白紙を貼り附けた茶褐色の扉

響野が食器を並べる音が定期的に鳴っているだけだった。

山の方には実にたくさんの灯りが見えた。もちろんどの灯りが君の病室のものかはわからない。あるものは貧しい家の灯りだし、あるものは大きな屋敷の灯りだ。

扉を押して一歩入ると甘酸っぱい空気で、広いホールは薄暗い照明だが、人熱れでむせかえっていた

（会議室）ぐるっと長いテーブルが繋がり四角形が描かれている