それきり声は途絶えた。不思議な静寂が、薄暗い舟の中にこもっていた。
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 ページ位置:27% 作品を確認(amazon)
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黙る・沈黙
静けさ・静寂
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前後の文章を含んだ引用
......いてあるような大きなガラス壜を棚からおろし、黒砂糖のかけらを出した。執拗に大きさにこだわっていたが、そのうちよく似た形の黒砂糖を三つ選んで、信雄と姉に渡した。 それきり声は途絶えた。不思議な静寂が、薄暗い舟の中にこもっていた。三人は黙って黒砂糖をかじった。ポンポン船が通り過ぎていき、やがて押し寄せて来た波が、舟の家を大きく揺すった。 家に帰ってからも、信雄の体はずっと揺れつづけていた......
単語の意味
静寂(せいじゃく)
静寂・・・物音一つなく静まり返っていること。ひっそりとして寂しさのあること。また。そのさま。「寂」は訓読みで「しず(か)」とも読める。
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黙る・沈黙の表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
艶消のような柔かい沈黙
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
そのときまでに決めておいてよ」 そう言って、希美子は弁当のからあげを口いっぱいに頬張った。これ以上何も話す気はないし、聞く気もないと言わんばかりに。
湊 かなえ「花の鎖 (文春文庫)」に収録 amazon
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静けさ・静寂の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
時計が九時を打った。九つめの鐘がゆっくりと暗闇の中に吸いこまれてしまうと、沈黙がその間隙にもぐりこんだ。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
生気に満ちた音がすっかり掃き清められたようになっていた。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
飼育場はしんと静まりかえっていた。羊たちはあのブルーの目でそれぞれの沈黙の空間をみつめているのだろう。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
たそがれのような静けさに満ちる
光瀬 龍 / 百億の昼と千億の夜 amazon
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(悲しい音楽を聴いて悲しみに浸る)その静かなメランコリックな曲は、彼の心を包んでいる不定型な哀しみに、少しずつ輪郭を賦与していくことになる。まるで空中に潜む透明な生き物の表面に、無数の細かい花粉が付着し、その全体の形状が眼前に静かに浮かび上がっていくみたいに。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
外の騒ぎが、祭りに興じる見物人たちのどよめきのように聞こえる
藤本 義一 / やさぐれ刑事 amazon
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