冷たい楓 の肌を見ていると、ひぜんのようについている蘚 の模様が美しく見えた。
※備考※ ひぜん(皮癬)は皮膚病の一種
梶井基次郎 / 城のある町にて ページ位置:82% 作品を確認(青空文庫)
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苔(コケ)
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前後の文章を含んだ引用
......の肌を見てさえ起こった。―― 楓樹 の肌が冷えていた。城の本丸の彼がいつも坐るベンチの後ろでであった。 根方に松葉が落ちていた。その上を蟻 が清らかに匍 っていた。 冷たい楓 の肌を見ていると、ひぜんのようについている蘚 の模様が美しく見えた。 子供の時の茣蓙 遊びの記憶――ことにその触感が蘇 えった。 やはり楓の樹の下である。松葉が散って蟻が匍 っている。地面にはでこぼこがある。そんな上へ茣蓙 を敷いた。 「......
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苔(コケ)の表現・描写・類語(植物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
じめじめした苔が、湿った綿の上を歩くような心持ちにさせる
志賀 直哉 / 志賀直哉小説選〈1〉 amazon
古い苔が微妙な模様を作り出す
日野 啓三 / 抱擁 amazon
青苔が、庭石にも樹立ちにも、染めつけたようにベッタリ生えて
獅子 文六 / 胡椒息子「胡椒息子 (1953年) (角川文庫〈第668〉)」に収録 amazon
(苔は)枯葉のようにかさかさしていた。
後藤 明生 / 吉野大夫 amazon
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八ツ手の葉にいっぱい埃 がかぶさったまま露がしっとりとしていて
林芙美子 / 新版 放浪記
ケヤキの枝先が、警告を与える古老の指のようにひからびた音を立てて震えた。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
茂るがままの枝は、それらの薔薇の木の上へのさばって屋根のようになっていた。
佐藤 春夫 / 田園の憂鬱 amazon
遠眼には油絵の具を流しこんだような黄一色の菜の花も、寄ってみると思いがけず疎らかな痩せた幹と花
檀 一雄 / リツ子・その愛 amazon
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