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ピアノの独奏だ。それなのに、オーケストラで奏でているような、もうすでに合唱を聴いているような、重厚な響き。その響きは、胸に直接入り込むようで圧倒される。なんてすばらしいのだろう。音の中に体ごと沈んでいくような感覚。こんなピアノは聴いたことがない。
瀬尾 まいこ「そして、バトンは渡された (文春文庫)」に収録 ページ位置:44% 作品を確認(amazon)
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ピアノ・鍵盤楽器
演奏する・楽器を鳴らす
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前後の文章を含んだ引用
......つが際立っていて、小さな音であっても、部屋中に響き渡る。太く長い指が鍵盤を押すたびに、みずみずしい音が放たれていく。私は一小節目から、演奏に引き込まれていた。 ピアノの独奏だ。それなのに、オーケストラで奏でているような、もうすでに合唱を聴いているような、重厚な響き。その響きは、胸に直接入り込むようで圧倒される。なんてすばらしいのだろう。音の中に体ごと沈んでいくような感覚。こんなピアノは聴いたことがない。「うわ、すごい! すごいよね」 どこかのホールで一曲聴き終えたような錯覚に陥って、私は演奏が終わると、思わず拍手をして隣に座る久保田さんに言っていた。 その後、......
単語の意味
圧倒(あっとう)
体(からだ)
胸(むね)
圧倒・・・ひときわ優れた力を持っていること。他よりとても勝っていること。また、その力で相手を押さえつけること。
体・・・頭・胴・手足など、肉体全体をまとめていう言葉。頭からつま先までの肉体の全部。身体。体躯。五体。健康。体力。
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ピアノ・鍵盤楽器の表現・描写・類語(音の響きのカテゴリ)の一覧 ランダム5
(ピアノ)緑川は、『ラウンド・ミッドナイト』をためらいがちに弾き始めた。最初のうち、まるで谷川に足を入れて流れの速さや足場を探る人のように、ひとつひとつの和音を彼は丁寧に用心深く弾いた。テーマが終わり、長いアドリブがそれに続いた。時間が経つにつれ、彼の指は水に馴染んだ魚のように、より敏捷に闊達に動き始めた。左手が右手を鼓舞し、右手が左手を刺激した。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
一台のピアノのフタをとると、歯のようなキイのうえをあたかも平四郎を脅かすふうに弾いてみせた。
室生 犀星 / 杏っ子 amazon
(念願のピアノ)部屋の真ん中には深いワイン色のグランドピアノが置かれていた。ピアノは堂々として、つやつやと光を放っている。その姿は、いろんな不安や疑問を、ひとまず忘れさせてくれる力があった。
瀬尾 まいこ「そして、バトンは渡された (文春文庫)」に収録 amazon
(フェルトでできたピアノの)ハンマーがまるでキタコブシの蕾のように揃って
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 amazon
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演奏する・楽器を鳴らすの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
音楽家としての彼が、どういう境地に至り、何を表現しようとしているのか。そのすべてが音となって鳴り響いている
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
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「動作・仕草・クセ」カテゴリからランダム5
二人の身体の間には、空気の分子すら入れたくない気持ちだった。
乾 くるみ / イニシエーション・ラブ amazon
歌の意味に合わせてマサコさんはゆっくりと波の形をその細い腕で作った。私はそこが急に静かな砂浜に変わったのを感じた。波が寄せてくる。
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 amazon
「音の響き」カテゴリからランダム5
大風(たいふう)のあとのように、ひっそりとした街
徳永 直 / 太陽のない街 amazon
馬が水を飲む音と、遠くから聞こえるポンポン船の音が、蒸暑い店の中で混じりあっている。
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
すきとおった硝子 のような笛 が鳴って汽車はしずかに動きだし
宮沢賢治 / 銀河鉄道の夜
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