ツツツツと細い火の柱が無数に空へつきぬけた。凄まじい爆音は絶えまなく空に裂ける! そして、ぱあと空いちめんが花火になった。流星、狂い獅子 、七ツ傘、柳、五葉牡丹 、花ぐるま。 花火に重なる花火、爆音につづく爆音、滅茶滅茶な火の乱舞、光の狂射、色の躍り、善光寺の町はあらゆる色に変って明滅した。空も地も気をそろえて気が狂 ったような瞬間が起った。
吉川英治 / 銀河まつり ページ位置:99% 作品を確認(青空文庫)
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打ち上げ花火
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前後の文章を含んだ引用
......…あの蝋燭だ。巽屋 にゃ世話になったのに、悪いことをしてしまったな」 その時、火事の空の中で、耳の破れるような音響がした。 おやっ? 見ると、炎の巽屋 の屋根から、ツツツツと細い火の柱が無数に空へつきぬけた。凄まじい爆音は絶えまなく空に裂ける! そして、ぱあと空いちめんが花火になった。流星、狂い獅子 、七ツ傘、柳、五葉牡丹 、花ぐるま。 花火に重なる花火、爆音につづく爆音、滅茶滅茶な火の乱舞、光の狂射、色の躍り、善光寺の町はあらゆる色に変って明滅した。空も地も気をそろえて気が狂 ったような瞬間が起った。 七は、巽屋の押入に、残して来たものを思い出して、手を打った。 「あははは。あははは。笑っちゃすまねえが、笑わずにゃいられねえ。捕手のやつあ、驚いたろうな。――......
単語の意味
明滅(めいめつ)
流星(りゅうせい・ながれぼし)
獅子・師子(しし)
明滅・・・光が明るくなったり暗くなったりすること。明かりをつけたり消したりすること。
流星・・・突然空に現れて光りながら落下する天体のかけら。引力によって地球にひきつけられ、大気圏内で大気と摩擦し発光したもの。流れ星。
獅子・師子・・・1.ライオンのこと。ネコ科の哺乳動物。雄は鬣(たてがみ)がある。肉食で家族単位で狩猟する。
2.ライオンに基づき、昔の東アジアで言い伝えた想像上の動物。左右の狛犬(こまいぬ)のうち、向かって右の、角がない口を開いた方をいう。
3.獅子舞(ししまい)の略。
2.ライオンに基づき、昔の東アジアで言い伝えた想像上の動物。左右の狛犬(こまいぬ)のうち、向かって右の、角がない口を開いた方をいう。
3.獅子舞(ししまい)の略。
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打ち上げ花火の表現・描写・類語(夏のカテゴリ)の一覧 ランダム5
瞬き始めた空に花火が咲いた。一つ、二つ。九時から予定されている本格的な打ち上げの、前座みたいな花火だった。赤一色だけの火の花は、すぐに萎れて消えた。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
吉川英治 / 銀河まつり
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「夏」カテゴリからランダム5
この玉から彼が苦心の赤光 が放てなかったら
吉川英治 / 銀河まつり
光の中に棘があって、剣山で素肌を刺すような暑さ
林 京子 / 道 amazon
夏になるにしたがって、町そのものが障子を取り外したようになる
佐多稲子 / 素足の娘 amazon
校庭に出たとたん、まるでフラッシュをたかれたようなまぶしさが降ってきた。しばらく目がくらんで、やがていつもの夏景色が見えてきた。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 amazon
「空・中空」カテゴリからランダム5
とにかくはっきりした、きびしいほど鮮やかな光景だった。 空が青い。 ガラスのような、固い素材でできているみたいに明確な、濃い青だった。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
沈殿物が底の沈んだ上澄みのような灰色の雲
辻井 喬 / 暗夜遍歴 amazon
森の柏の静まった葉波は一斉に濡れた銀の鱗 のように輝き出した。
横光利一 / 日輪
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