一陣の強風が木立を揺り動かし、川辺に沈澱していた 螢 たちをまきあげた。光は波しぶきのように二人に降り注いだ。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 ページ位置:93% 作品を確認(amazon)
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蛍
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......はまだずっと竜夫のベルトを握りつづけたままであった。竜夫は英子に何か言おうとしたが言葉にならなかった。彼は体を熱くさせたまま英子の匂いを嗅いでいた。 そのとき、一陣の強風が木立を揺り動かし、川辺に沈澱していた螢たちをまきあげた。光は波しぶきのように二人に降り注いだ。 英子が悲鳴をあげて身をくねらせた。「竜っちゃん、見たらいややァ……」 半泣きになって英子はスカートの裾を両手でもちあげた。そしてぱたぱたとあおった。「あっち向......
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蛍の表現・描写・類語(夏のカテゴリ)の一覧 ランダム5
この切ない、 哀しいばかりに蒼く 瞬いている光の塊
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
ささやかな淡い光は、まるで行き場を失った魂のように、いつまでもいつまでもさまよいつづけていた
村上春樹 / ノルウェイの森 amazon
炎とも電気とも星や月や太陽ともちがう、これまで見たことのない色と質感の光だった。輪郭があやふやで、触れたときの温度を想像しにくい。冷たいようでも、火傷しそうでもある。そういう光が、ふわふわ漂ったり静止したりしながら、田んぼのあちこちに灯っている。夜を少しだけ照らしだす。
三浦 しをん「神去なあなあ日常 (徳間文庫)」に収録 amazon
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「夏」カテゴリからランダム5
空気はまだ、夏の緑の匂いがした。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
風鈴が、そっと私の心をなぶっていた。
林芙美子 / 新版 放浪記
ジリジリと音が聞こえそうな午後の陽光
阿久悠 / 瀬戸内少年野球団 amazon
黄熟した八月の暑熱が、じりじりと大地にしみいる
徳田秋声 / あらくれ amazon
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