雲のかけらが目つきの悪い密使のように大急ぎで空をかけぬけ
村上春樹 / ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 ページ位置:16% 作品を確認(amazon)
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雲の流れ
強風・暴風
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前後の文章を含んだ引用
......ぶ閉めてしまうと、風の音はもう殆んど聞こえなくなった。窓の外では無音のうちに樹木が──ヒマラヤ杉と栗の木だ──まるで痒みに耐えかねる犬のようにその身をくねらせ、雲のかけらが目つきの悪い密使のように大急ぎで空をかけぬけ、向いのアパートのベランダでは何枚かのシャツが置き去りにされた孤児のようにビニールのロープにぐるぐると巻きついてしがみついていた。 まるで嵐だな、と僕は思った。......
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雲の流れの表現・描写・類語(空・中空のカテゴリ)の一覧 ランダム5
数え切れないほどの雲があとからあとから、かさにかかった軍団のように押し寄せてくる。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
その雲は眼に見える風のようにたえず動いていた。
夏目 漱石 / 明暗 amazon
雲は次々に南に向けて空を吹き流されていた。どれだけたくさん流されても、あとからあとから雲は現れてきた。遥か北方の地にそれらの雲を無尽蔵に供給する源があるに違いない。頑なに心を決めた人々が、灰色の厚い制服に身を包んで、そこで朝から晩までただ黙々と雲を作り続けているのだ。蜂が蜜を作り、蜘蛛が巣を作り、戦争が寡婦を作るように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
曇った空に雨を含んだ雲が船のようにゆっくりと流れる
遠藤 周作 / 沈黙 amazon
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強風・暴風の表現・描写・類語(風のカテゴリ)の一覧 ランダム5
道頓堀川が小さく波立っていた。晴れてはいたが、風が強いようであった。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
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「空・中空」カテゴリからランダム5
雲はそう濃くはかかっていないと見えて、新月の光がおぼろに空を明るくしている
有島武郎 / 或る女
落日にいろどられて光を呼吸するように見えた雲も、煙のような白と淡藍 との陰日向を見せて
有島武郎 / 生まれいずる悩み
月が風に吹かれているようで、歪んだ高い窓から色々な光の虹 が私には見えてくる。
林芙美子 / 新版 放浪記
水彩画家が好みそうな雲が空に淡くたなびいている。ブラシの繊細なタッチが試されるところだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
厚い灰色の雲は雪の予感をはらんでいた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
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