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夕暮の風が海を渡りそして草を揺らせる間に、夕闇がゆっくりと淡い夜に変わり、幾つかの星がドックの上にまたたき始めた。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 ページ位置:83% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......キは潮風で赤く錆びつき、その脇腹には病人のかさぶたのように貝殻がびっしりとこびりついている。 僕たちは随分長い間、口をつぐんだまま海と空と船をずっと眺めていた。夕暮の風が海を渡りそして草を揺らせる間に、夕闇がゆっくりと淡い夜に変わり、幾つかの星がドックの上にまたたき始めた。 長い沈黙の後で彼女は左手でこぶしを作り、右の手のひらを神経質そうに何度も叩いた。そして赤くなるまで叩きつづけてから、まるで気が抜けたように手のひらをじっと眺め......
単語の意味
淡い(あわい)
夕闇(ゆうやみ)
淡い・・・味や色や香りなどが薄い。光や形がぼんやりしている。
夕闇・・・日が沈んで、月が出るまでの間の薄い暗闇。夕方、月がなくて暗いこと。
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