いつかの夢のように遠いかすかな記憶

頭にこびりついている

今見たように鮮やかな記憶

記憶を胸の底に長くとどめる

（詳細な思い出話）喜助の話はよく条理が立っている。ほとんど条理が立ち過ぎていると言ってもいいくらいである。これは半年ほどの間、当時の事を幾たびも思い浮かべてみたのと、役場で問われ、町奉行所（まちぶぎょうしょ）で調べられるそのたびごとに、注意に注意を加えてさらってみさせられたのとのためである。

記憶の底をさらって

（二日酔いで昨日のこと覚えていない）どんよりと白濁した意識を抱え

一度で、その歌が海綿にでも吸われるように、皆に覚えられてしまった。

記憶の奥底に埋もれていた名前

一旦意識すると、それ以前の記憶が連鎖的に蘇ってくる。